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いよいよ旅も帰路に入る。素晴しかった道東の川や魚たちともしばらくお別れだ。
早くここに戻って来たいなあ。そんな思いを強くしながら、帰りのしたくをした。
今日は室蘭まで走り、夜の便のフェリーで青森までいくことになっている。

宿で朝食をいただいて、いろいろお話をしていたら、十勝川のある支流で竿を出すことを薦められた。
十勝川といえば、石狩川と並ぶ北海道の大河川だが、数多いその支流も素晴しい条件を備えた好ポイントが多いとか。
そりゃそうだろうなあ。
室蘭のフェリーには9時までにチェックインすればいいから、川で釣りをして夕方港に入ればいい。この線でいくことにした。
宿にお礼を言って、出発したのが9時。
今日はゆっくり走って北海道の道を十分に堪能できそうだ。

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アディオス、弟子屈!また来るぜ!


走り出してほどなく、放牧された馬達に出会った。脅かさないように緑馬のエンジンを切って近寄ってみた。
道産子たちって純朴でかわいい。何頭かが向こうからポクポク僕の方に寄って来た。乗馬をちょこっとだけかじったことのある僕は久しぶりに馬とふれあってみたい気分になって、道ばたの草をむしって食べさせてみた。
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かわいい道産子たち。

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でもすごく不満そうな顔をされた。「あの~、草はいっぱいあるんです。 ニンジンないんですか?」

ごめん。ニンジンはないんだわ。

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みんな一斉に前ガキを始めた。「ニンジン。ニンジン。ニンジン。」

前ガキとは、前足で地面をひっかく動作で、馬が何か要求するときや不満があるときにとる行動だ。
みんなでそろってやられると、ニンジンを持っていない僕がだめな人間だといわれてるみたいで、むかついてきた。

馬は非常に頭脳の発達した動物だ。一番大きい馬が
「あ~、この人だめだめ。ニンジン持ってない。無駄無駄。」
そんな感じで後ろを向いたら、みんな
「あ~がっかりした。行こ行こ。」
ってそろっていってしまった。
ったく、なんだよ。ニンジンなくて悪かったよ。もう。

緑馬はニンジンがなくても文句はいわない。
でもその緑馬もガソリンがなくては走らない。北海道は、給油できる場所がかなり離れているので、うっかりするとガス欠で立ち往生の憂き目に遭ってしまう。常に早め早めの給油を心がけておいた方がいい。
それにしても、北海道の道は素晴しい。バイクとは北海道を楽しく走るための道具であったか、と思うほどに素晴しい。どこまでもまっすぐ続く信号のない道。視界の広さが本州とは比較にならない。バイクの鼓動を感じながら中速で風とともに走る。余計なスピードなんて出すのがもったいない。
釧路市内までの途中に、釧路湿原記念館というところがあったのでに立ち寄ってみた。幻の大魚といわれるイトウの2m近くある木彫りがあったり、水槽に本物のイトウの20cmくらいのが底の方でかわいくじっとしていたり、展望台から360度見渡す限りの釧路湿原に感動したりした。
釧路市内を西に折れて、十勝方面に向かった。ガソリンは満タンにしたのだが、僕自身の腹がへってきた。
次になんか食べられるお店が見えたら、入って昼食にしよう。と思って走るのだが、全然お店がない。かれこれ1時間も走ったところで、ようやく国道沿いのラーメン屋さんを見つけた。緑馬を停めて、降りてお店に入ってびっくり。なんと廃業したらしい。気をとりなおしてまた走り出したが、なかなかお店は見つからない。本州なら国道を走っていたらなんかかんかはあるものだが、ここは北海道。大きさが桁外れなのだ。また相当走ってやっとレストランを見つけた。スパカツ!!と大書した真っ赤なのぼりが連なっていた。スパカツとはここいらの名物らしく、ミートソースのスパゲティーにとんかつがのっかっているらしい。中年の僕にはしんどい感じだが、ここまで空腹なら大丈夫だろう。旅の思い出にスパカツ食うか。
と思って入ったのであるが、なぜかメニューを見ているうちに気が変わって海鮮どんぶりを注文してしまった。やっぱり中年には肉 on 肉はちょっときつかったか。

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スパカツののぼりが見える。それにしてもかっこいいバイクだ。(荷物はかっこわるいが)

さあ、腹も満たしたし、頑張って走ろう!
今日は天気も最高。落ち着いて北海道を走れる。こんなときはヘルメットの中で大熱唱だ。
奥田民生の「イージューライダー」やら村田和人の「一本の音楽」やらサニーサイドチキンズの「風雲(かざぐも)」やら僕なりのバイク用メニューを3まわしくらい歌ったところで、目の前に素晴しい風景が入ってきた。
心にビーンときた。僕はこの景色を観るためにここにきたんだ、と直感した。
そうだよこの風景。なぜか懐かしい。知っているはずもないのに。

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いつか見た空だ。

緑馬を停めて、空に向かって思い切り大きな声で「お~~~い!!」と呼んでみた。

空よ。 僕が見えているか。  僕はまだなんとか生きているぞ。

来てよかった。来たのはまちがいじゃなかった。来るべきだったんだ。
清々しいような、泣けてくるような、なんとも言いがたい気持ちを胸に、僕は緑馬を駆って走り出した。

<つづく>












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