FC2ブログ

 7月の模試が始まった。各科目すべての単元学習が完了したとして、入試と同じように全単元がテスト範囲となる最初の模試だ。いつも通っているうちの校舎ではなく、もっと大きな別会場で受ける。これも雰囲気が入試みたいでいいことだ。いつもの教室で受けられるのも便利だが、反面、気分がなあなあになる危険もある。よそ行き感があった方がいいのだ。現時点で万全の体制を整えているのは織田だけだが、まだ夏期講習前の段階なので、みんなまだまだ学力に穴もでこぼこもあって普通だろう。

 ここで、汎用の模試を受ける場合に知っておいて欲しいのは、実際の入試よりも偏りがないように作られているのでどうしても広範囲を出題することになり、時間が足りなくなるケースが多いということだ。入試というのは各学校がある程度、特徴を持たせてある。国語で言えば、男子校なのに「詩」が必ず出る、とか算数で言えば、ある種の図形が毎回必ず出る、とか他にも質問の仕方に特徴があったり、問題数が多いとか少ないとか、いろいろある。だから自分の志望校の過去問をたくさん解いて傾向を掴んでおく必要があるのだが、それに比べて模試はみんなが一斉に受けるから、できるだけ特徴がないようになっている。そして問題の量が多いときには、最後までいかないこともよくある。後で見たら最後の問題にも解けるものがあったのに、時間がなくてそこまでいかなかった。なんて話はざらにある。しかし、これではだめで、解ける問題を時間内に引っかき集めて全部解く、というのが正しい。ところが子供にとってはこれがなかなかできないものだ。

「解ける問題からやりなさい」と言われても、「それを探している時間がもったいない」とか、「いろいろ飛び飛びに解くと訳がわからなくなる」とか、「できない問題を後回しにしていたら、ほとんどの問題が後回しになっちゃって結局順番に解くしかなかった」とか、いろんな理由で大人からみると無駄な受け方が横行してしまうのだ。

 この「時間配分」の上手い下手がテストの出来、不出来を大きく左右する。だから、模試の過去問をやって実際に解ける問題を残さない練習をしておく必要があったという訳だ。

 それともう一つ。子供というのは、大人が想像する以上にいい加減だ。もちろん個人差は大きくあるが、問題文をよく読まずに、またはまったく読まずに解こうとして、ミスるケースがかなりある。

「時間がねえから、全部までなんて読んでられねえよ」

と言ってのけた生徒すらいる。大人から見れば、正気の沙汰か?と思う話だが、これが結構あるのだ。問題集でよくあるパターンなら、どうせいつもの通りだろう、と細部を読み飛ばしたり、算数の図形問題などは図しか見ずに解く奴がいっぱいいる。そしてバツをくらって

「これはひっかけ問題だ」

などと言う。怠惰な上に責任転嫁する、のび太くんのようだが、子供というのは人間の典型的な悪いところを体現しているものなのだ。ここの部分の指導、簡単に言えば「問題文をちゃんと読め!」ということなんだが、なかなか言うことを聞いてくれない生徒もいる。何度言ってもダメな子はいるもので、そういう場合は手取り足取り教えるしかない。具体的には、時間制限の中で一緒に問題を解いて、いちいち注意していくのだ。そこまで必要なのはまず男子に限られるが、今年のうちのメンバーでは大悟がそうだった。頑固というか、人の話を聞かない奴で、手こずらせたがこの件は菅生くんに任せた。大悟本人とご両親は菅生くんを信頼していて、他校舎に入塾していろいろいざこざを起こしていた奴をうちの校舎に連れて来て

「僕が最後まで面倒見ますから」

と言った菅生くんにご両親が惚れ込んで、うちに通うようになったという経緯がある。頭はいいのだが、興味のないことは放ったらかし、面倒な問題は解かない、きちんとノートをとらない、など、手のかかる男なのだが、菅生くんはいつも腹を立てながらもていねいに指導して来た。大した奴だと思う。その甲斐あって、5年生の頃はひどかったものだが、大悟も最近は問題文をよく読まないで生ずるミスは無くなってきた。


 模試を受けて、すぐに帰宅せず校舎に寄って自習して帰る子も何人かいる。充が模試会場から戻ってきたので、早速、一緒にテストの復習をすることにした。

「どうだった?」

という俺にいつも通りの無表情で

「まあまあ」

と答えたが、まあまあなら上出来だ。本当にそうなのか中身をチェックしてみたが、算数は前半の易しい問題をすべて解いてあり、空欄がないのがまずよかった。俺の採点ではまあまあの線までいったかもしれない。理科は電流と水溶液は、⑴以外まったく手をつけず空欄。生物系はかなり正解し、地学の問題も易しいところはしっかりとっている。う~~む。いいかも。今までの低空飛行ぶりからすれば、ちょっと上向きになったか。国語と社会は菅生くんがお休みなので明日見てもらうことにしたが、

「これまでより、いいんじゃないか?自分でもできたっちゅう感触あるだろ?」

と聞いたら

「まあまあ」

とまた答えたが、少し表情がやわらいだ。俺もまずはホッと一息というところだ。


 それから、約十日後、模試の結果が出た。偏差値で見てみよう。

織田。 国語65 算数68 社会70 理科76

いい感じである。今回は理科が突き抜けた。正解率の低かった難しい最後の大問が今回はモーターを使った回路であり、鉄ちゃんの底力を見せここを満点だったのが利いた。

 

祐子。 国語66 算数56 社会53 理科57

やった!補習の成果が出て理科がいきなり57である。相変わらず国語では織田を押さえている。算数も56なら現時点で文句はない。こいつはやっぱりものが違う。


大悟。 国語49 算数65 社会47 理科60

お。社会が上がってきた。上がって47というのも悲しい話だが、前回は38である。よく見ると4科とも上がっている。褒めてやるとまた図に乗ってサボり出しそうなので、褒める叱るの判断は菅生くんに任せよう。


飯田。 国語56 算数60 社会56 理科53

今回は算数が当った。当ったなんて博打みたいな言い方だが、飯田の場合そこそこの力はあるものの、空振りすることが多いのである。今回は⑴を絶対に落とすな!と指示しておいたのが利いたか。理科もまともになってきた。だがいかんせん志望校が高いので、まだまだ鍛えなければならない。


春生。 国語51 算数55 社会54 理科58

ついに4科とも平均越えを達成。いや~待っていたのだ、これを。理科は60に近づいている。補習の成果を出してくれた。うれしいもんだ。やる気になっている子はやっぱり強い!今回はしっかり褒めてやろう。みんなの前で褒めるのが効果絶大なのだが、これは依怙贔屓みたいに感じる子もいたりで、難しい面もある。しかし春生ならそういうこともないだろう。人から好かれる性格というのは貴重なものだな。コゲラが羽ばたき出したか。


かえで。国語64 算数50 社会61 理科56

前回から微増というところだろう。算数は少し下がったが、なんとか平均でとどまった。成績とは関係ないが少し気になることがある。先日、お父さんの単身赴任が決まったそうだが、なんと奴は万歳三唱をしていたのだ。俺には子供がいないが、父親というのは淋しいもんだな。離れて暮らすことになって、我が娘に万歳されるとは。精神的にデリケートな年頃に差しかかっての受験なので、お父さんが家庭から離れるのはマイナスかと思いきや、逆のようだ。


ナナ。 国語60 算数56 社会54 理科47

理科以外は微増。理科は平均を切ってしまった。やはり補習だな。まあ、ナナの場合は少しやれば上がってくると思う。だが社会ももっと取れるはずだ。真面目な子だからサボってはいないが、一度菅生くんにチェックしてもらおう。夏の課題はズバリ理社の強化だろう。


りる。 国語45 算数56 社会52 理科54

相変わらず変動が激しい。算数も国語もどっちが得意なのかわからないくらいのジェットコースター運行だ。しかし4科総合では上がっている。彼女の場合、波をなくすのがよいのか、波の激しさに乗じて突っ走らせるのがいいのか判断に迷う。普通は波をなくし安定させるものだが、どうもそうではないような気がだんだんしてきた。波乗りパイレーツでいくか!いや冗談である。


南出。 国語50 算数53 社会46 理科53

社会さえ上がっていれば4科そろって平均越えだったが。しかし苦手の理科で53を取ったのは立派。電流を捨てて水溶液に絞った作戦は当ったようだ。算数もよかったが、これは点の取り方の効果だろう。易しい問題を落とさなかったのだ。実力は夏で鍛えていく必要がある。


充。  国語46 算数46 社会49 理科49

これはよかった。4科とも平均を下回ったが、前回からはすべて上がっている。褒めてあげていい結果だ。しかしお父さんはこれをどう判断されるだろうか。いつまでも低いままじゃないか!とお叱りをいただくかもしれないし、少しずつながら上がっていることを評価していただけるのか。でもお父さん。彼は頑張ってます。俺たちも。そこんとこよろしくです。よく見たら成績もヨロヨロシクシクとなっていた。