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一昨日の試合の結果に関わらず、今日からまたボクシング話を再開しようと決めていた。

以前のバンドのブログで「格闘技百番勝負」というタイトルでボクシング・ネタの記事を40話以上書いた。ずっと、ストップしていたが、また始めることにした。よろしくお願いします。

「格闘技百番勝負」では、ロベルト・デュランやトーマス・ハーンズ、たこ八郎、ジョージ・フォアマン、大橋秀行など、ほとんど古い選手の話だったが、今回は、現役のチャンピオンや選手の話も大いに語っていきたい。

再開第一弾。まずは、一昨日V3を達成した、われらが西岡利晃からはじめよう。
前ブログでも語ったバンタム級時代のウィラポン戦であるが、チャンピオン増産国タイの国民的英雄、ウィラポンとの4戦は、もはや「勝利なき伝説」となっていた。
14度も防衛を続けたウィラポンの全盛時代に4度挑戦し、いずれも判定で2敗2引き分け。最強王者のウィラポンが相手でなければ、とっくに・・・・。

過去、黄金のバンタムの王座に肉薄しながら、チャンピオンになれずに終わった名選手は多い。あの天才西岡もそうなってしまうのか。
「スピードキング」「天才」「日本のホープ」と言われながら、世界のベルトは巻かずにおわるのか。

階級をスーパー・バンタムに上げ、チャンスを窺っていた西岡だが、向かい風がふくばかりだった。バンタム時代終盤にアキレス腱を断裂していたこともあり、周囲の状況は引退に向かって加速していった。帝拳ジムの本田会長からもはっきりと引退をすすめられる中、西岡本人はそれを拒み続け、しぼんでいきつつある可能性に懸けて自分を鍛え続けた。
「スピードキング」と騒がれた頃の速さはなくなった代わりに、「天才」と呼ばれた頃より経験を積み、奥行きのある選手に変わっていた。だがそのことを世の中に知らしめるためには、
やはり世界王者にならなければどうにもならない。

そして、昨年9月、ついに千載一遇のチャンスを見事にものにし、WBC暫定王座につく。その後、正規王者のバスケスが網膜剥離で引退したため、正規王者に昇格。ついに世界のベルトを巻いたのだ。この勝利は、ユニコーンの再結成と並んで僕にとってめちゃくちゃどでかいうれしいニュースだった。ほんと体に電流が走って、声を上げてよろこんだ。

この試合は、タイのナパーポンとの暫定王座決定戦であり、敵陣セコンドには、あのウィラポンがいた。「西岡は気持ちが弱い」と陣営で話していたというが(そりゃ、あんたが強すぎなんだろう!)、それは以前の西岡だった。試合後のリング上でウィラポンから祝福を受ける西岡の姿を見て、僕は泣いた。

今年1月、メキシコのヘナロ・ガルシアと初防衛戦を行い、これに最終12回TKOで勝利。2度倒されながらも粘る挑戦者を、気力で振り払ったようなKOだった。試合後、リング上で愛娘小姫ちゃんをだっこして、まだしゃべれない小姫ちゃんが「ア~ア~」言うのを翻訳して「パパ、チャンピオン男前。ってゆ~てます。」と。以後、男前王者といわれることになる。これでV1。

5月には、指名挑戦者のジョニー・ゴンザレスと敵地メキシコで防衛戦を行った。
実は、日本人は敵地での世界戦に弱く、敵地でのタイトル奪取はいくつか例があるものの、防衛戦は渡辺二郎が一度成功しただけであった。国内でやるか敵地でやるか、ガッツさん曰く「天国と地獄の違い」だというが、実際、記録をみても差は歴然としている。そういう意味では、敵地でも何回も防衛してきた、カオサイやウィラポンはやっぱり凄い。
渡辺二郎の海外防衛であるが、これは時差の少ない韓国で、明らかに格下の挑戦者を選んで初の海外防衛という「記録作り」のために行ったもので、僕はこの試合を見なかった。渡辺二郎大ファンの僕が見なかったのだ。それくらい安全なマッチメイクだった。
だが、西岡の場合はまったく違う。WBC本部はメキシコにあり、お膝元での指名試合である。挑戦者のゴンザレスはバンタムで世界王座(WBO)につき、2階級制覇をねらう実力者で、実際、メキシコサイドは完全に勝つ気でいた。円にものを言わせて国内でしか防衛しない日本人がよくでてきたなあ、と言われていたらしい。リングサイドのTV解説席にはタキシード姿のフリオ・セサール・チャベスがいた。メキシコのというより世界の英雄チャベスが解説につくのだ。ゴンザレス陣営の本気さ、メキシコ国内の期待度がわかる。
ここまで、危険な防衛戦を行った西岡サイドには、大きな目標があるのだった。
本場メキシコで名を上げて、いずれはラスベガスで防衛戦をやる。
これは過去、日本人がだれも成し得ていない大偉業なのだ。ラスベガスでの興行は規模が桁外れに大きい。ファイトマネーも桁がふたつ違う。地位、名声も日本国内とは段違いなのだ。
さて、試合であるが、開始早々1Rに西岡がダウンをとられる波乱があった。ダメージはさほどなかったが、ここで慌てず、あとを打たせずに乗り切ったところが今の西岡の強さだ。
「あのダウンで、ふっきれた。」と後に語っていたが、実に冷静だった。
2Rには早くもペースを取り返し、続く3R、西岡の得意中の得意、右に半歩アウトステップしながら重心を低くして踏み込む左ストレートが炸裂!一発で試合を決めた。
パンチのダメージで膝がのび、後ろに吹っ飛んだゴンザレスはロープで後頭部を打ち、完全にのびてしまった。奇跡的に立ち上がったが、レフリーは10カウントを数え、試合終了。
ここまできれいな一発KOシーンはなかなかない。見事なKO勝利でV2。
http://www.youtube.com/watch?v=KgQ_L8hMuVM

本場メキシコでの鮮烈KOから5ヶ月。今度は国内での防衛戦にアメリカからあのデラホーヤの会社ゴールデンボーイプロモーションのプロモーターが見にきている。Wタイトルマッチの片方の主役、27戦全勝のホルヘ・リナレスが契約している関係だが、本場のプロモーターが日本に試合を見にきているというビッグチャンスだ。肝心のリナレスがなんと1RでKO負けしてしまったのだが、その嫌な空気を一新して、3R終了でTKO。挑戦者のエルナンデス(メキシコ)が顎を骨折したらしいと棄権したのだ。自信に満ちた試合運びでさらに進化しているようだ。試合後、小姫ちゃんもおしゃべりできるようになっていて、パパとのデートのことを「ぼら公園いくの。」と。インタビューに応えるその表情も、鼻っ柱の強い早熟の天才から大きく成長し、王者の風格を備えた実にたのもしいものになった。
さあ、なんとか大きな夢に向かって羽ばたいてくれ! でV3。

ウィラポンとの4戦48ラウンドが大きな糧となって、今の強い西岡がある。
「可能性の人」に終わることを拒否し、日本中のボクシングファンの夢を担う存在になった彼を本当に心から応援したい。






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