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2010.12.08 サウスポー
すでに何日も経ってしまったので、みなさんご存知だと思うが、我らが長谷川穂積がバンタム級に続いてフェザー級で世界タイトル2階級制覇を成し遂げた。

最近は階級が細分され、世界王座の認定機関もいくつかあり、オスカー・デ・ラ・ホーヤの6階級制覇とかマニー・パッキャオのよっつ飛び越えての6階級制覇(事実上10階級といわれる)など複数階級バブルみたいになっているので、2階級制覇といっても一般的には有り難みが少ないかもしれない。
しかし、今回の長谷川の快挙には、僕なりのある「思い」が重なっていた。

まだ、スーパーとかジュニアのつく階級がなかった時代。世界王者の認定機関もWBAひとつだった時代。
日本人2人目の世界チャンピオン、ファイティング原田の話だ。
19歳で世界フライ級王者となった後、減量苦からバンタム級に転向。当時のバンタム級王者はブラジルの英雄エデル・ジョフレであった。「黄金のバンタム」(バンタムとはチャボのこと)と言われた名チャンピオンで原田と対戦するまで無敗を誇っていた。この名王者を下し、2階級制覇に成功(ジョフレの通算戦績は72勝2敗4引き分けであるが、2敗はともに原田に屈したものだ)。4回防衛した後、さらなる減量苦から、フェザー級に転向し、世界王座3階級制覇をねらった。今で言えば5階級で全団体統一王者になろうとした訳で、考えられないような壮大な目標である。
フェザー級の世界王者はオーストラリアのジョニー・ファメイションであった。適地のシドニーに乗り込んでの挑戦で、王者から4R、11R、14Rと3回もダウンを奪いながらも不可解な地元判定で敗退した。14Rのダウンでは王者ファメイションは失神していたらしいが、レフリーがカウント途中に王者を抱え起こす、という信じられない反則行為がおきたらしい。地元のファンさえも大ブーイングの嵐だったといわれるが、抗議を一切せず、健闘を称え合った原田の姿を地元の新聞は「サムライ」と賞賛したそうだ。

開催地を東京に移しての再戦では、ファメイションの強打に屈し、KO負けしてしまうが、事実上、3階級制覇は成し遂げられていた、と信じる日本のファンは多い。幻の3階級制覇である。

現代の黄金のバンタムを10回も防衛した長谷川が、ひとつ飛ばしてフェザー級で王座に挑む。そう聞いたとき、ふと原田の幻のフェザー級制覇を思い出してしまった。(僕も古いなあ)

試合は思いのほか、熱い打ち合いが続き、スピードと技術に勝る長谷川が距離の変化を使わず、敢えて打ち合うボクシングをしたことに賛否両論あったと思う。相手のブルゴス(メキシコ)も強敵で、あの層の厚い中米のフェザー級で25勝無敗18KOというパーフェクトレコードを持っていた。バンタム級なら、倒れていただろう強烈な長谷川のパンチをいくつももらいながら判定までいったのは流石である。僕は、次回からは本来の距離をあやつる長谷川のボクシングがまた始まるのでは、と思っている。今回は長谷川自身に「ゆずれない決意」があったようだった。


さて、表題のことであるが、知っての通り、長谷川穂積はサウスポーである。
サウスポーにも2種類あって、本来、左利きのサスポーと、本来の右利きをボクシングだけ左構えに矯正したコンバーテッド・サウポーの2種類だ。川島ジムの川島会長は小学校時代に具志堅用高さんをTVで見て、サウスポーの方が有利じゃないかと思って、変更したと聞いた。このケースは意外に多いようだ。
ナチュラル、コンバーテッドいずれにしても、過去から現役まで、考えてみるとサウスポーの名王者は多い。
具志堅用高、渡辺二郎、浜田剛史、川島郭志、現代では長谷川穂積、西岡利晃、粟生隆博など枚挙に暇がない。
今や世界的ヒーローになったフィリピンのマニー・パッキャオもサウスポーだ。
パワー派のファイターより技巧派のテクニシャンが日本人には向いているので、こういう傾向があるのだろうか。

僕ごときの話で恐縮だが、僕は右利き。小学校から剣道を6年間やってきて、その後、ボクシングを習い始めた。剣道は、「すり足」といって右足が前、当然右手が前の構えになる。剣道から移行してきた人には、足が反対になることに違和感があって、右を前に構えるサウスポースタイルを選ぶケースが多い。
でも僕は、普通に右のオーソドックススタイルを選んだ。というか剣道の経験とか何も言わなかったので、普通に右構えを教えられた。初めて左足と左手を前に出して構えた瞬間、僕は
「うわ。こんなに楽でフィット感があるのか!きっと僕にはボクシングの方が向いてたんや。」
と感じた。
ずっと、そのときのまま、そう思っていたが、40代になってようやく気が付いた。これは剣道よりずっと以前からやっていた(やらされていた)ヴァイオリンの構えに近かったからなのだ。お世辞にもよく練習したなんていえない、サボりまくりのヴァイオリンだったが、小さいときに刷り込まれた感覚は長く続くようだ。

話を戻そう。サウスポーにも有利な点と不利な点があるが、一般的に、右構えで距離をとるボクサースタイルの選手(左ジャブを主軸にストレート系パンチを得意とするタイプ)には相性がいい。
逆に、右のボクサータイプにはサウスポーを苦手とする人が多い。西岡利晃が適地メキシコでジョニー・ゴンザレスにKO勝ちした試合なども好例だ。
長谷川の次回防衛戦の相手に、ジョニー・ゴンザレスの名前も挙がってるらしい。バンタム級王者だったが、スーパーバンタムの西岡に挑戦して破れ、さらにフェザー級に上げてきているらしい。彼の身長やリーチからするとフェザーの方がフィットしそうだが、西岡戦のあとの戦績がこわい。7戦7KOだとか。

メキシコでは相変わらず最も期待されている選手らしい。彼も日本人のサウスポーに二人続けて負けるわけには行かないだろう。対戦することになれば、相当な覚悟で挑んでくるにちがいない。
しかし、長谷川ならやってくれるはずだ。必ず勝ってくれる。
「アジアンのサウスポーは強い。」
そう世界に言わしめてほしい。








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